人間関係からくるストレスにも3つのパターンがあります。友達になる時のストレス、拒絶された時のストレス、距離を置かれたり距離を置かねばならない時に生じるストレス。

瞑想センターを訪れる人の多くは、人間関係でのストレスを解消しにやってきます。家族、配偶者、職場での人間関係…社会で暮らしながら様々な人間関係を通して背負った心を解消しようと多くの人が瞑想を始めます。

そうして心を見つめてみると、人々はストレスの原因が“自分の心”にあったことに気付きます。生きてきた人生をふり返りながら、小さい頃からの親友や最近は疎遠になっている人々などを思い返して少しずつ自分の内面と向き合っていくと、どのような心が原因で人間関係が上手くいっていないのか、どうすれば上手くいくのかの気付きが生まれます。

今回、そうして自分自身をふり返る瞑想を行なった100名の方々に訊きました。

「人間関係でストレスを生み出していた心とは、どんな心でしたか?」

上位5つの心を紹介する形でストレスの原因を探ってみましょう。

5位 相手を馬鹿にする心 

「それでもお前より俺のほうがまだマシだ」
「そうするよりも私のアイデアの方が良いのに」

同じ屋根の下に暮らす家族同士でも、相手を馬鹿にする時があるものです。夫婦間でも小言を言い合うことが増えたり、自分でも知らないうちに抱いていた、夫(妻)を馬鹿にする心が相手に伝わったり…そうして時には関係修復が不可能なほどの心の傷を相手に負わせてしまうケースも少なくありません。あなたは、どんな心で人と接していますか?

「『周りはみんな自分より劣った連中だ』『自分が一番優秀なんだ』とあらゆる人を馬鹿にしていました。 彼氏のことも、親のことも…。いちばん近くて親しい人々のことを私はいちばん馬鹿にしてぞんざいに扱っていたのです」―Iさん

4位 先入観、偏見 

過去の経験が、あるがままの今をゆがめてしまいます。
「こんな外見の人は性格がおかしい」
「あの子は昔こういう性格だったから、今もそうだろう」
そう思っていると、目の前にいる人をあるがままに見ることはできません。 

「外見だけを見て、『あの人はこんな人だろう』という先入観を持ったり、初対面にもかかわらず上手くしゃべれなかったり、話したくないなと思ったり…。瞑想をしてみたら、「あの人は普通じゃない」と思っていた人が、じつは普通の人でした。学生時代に嫌いだった人と似ている人を私は知らず知らずのうちに避けていただけだったのです」―Gさん

一度失敗した人間はいつまでも“失敗した人間”であり、「また失敗する人間だ」という目で見ていたために関係修復は困難でした。その人が失敗した点だけに意識が行ってしまうのです。“失敗した人間”という烙印が私の心に押されてしまったのでしょう。その人がその後どれだけ結果を出してもそうした偏見がありました」―Hさん

3位 期待する心  

ソファでテレビを見ている時にはゴミ出しを頼まないで欲しい。息子にはクラスで10番以内の成績を取ってほしい。親の小言にはもうウンザリ。

パートナーには自分を傷つけるようなことは言ってほしくない。自分が何を言ってもパートナーには受け入れてもらいたい。私たちはいつも誰かに期待ばかりしていませんか? 

「見返りを求めることなく人に親切にしたことなんてなかったと思います。自分がそうしたくてした時以外は、常に何かを『してあげた』という思いがありました。だから、何かをしてあげた相手が私の要求を断ると、ものすごく腹が立ちました」―Eさん

「期待されることが負担でした。親の期待や友人の期待…『相手の期待に応えなければ。がっかりさせたらどうしよう』 そんなプレッシャーに苦しむ日々が多かったです」―Fさん

2位 オモテとウラを使い分ける正直でない心  

正直な心で接するとは一体どういうことなのでしょう? あなたは正直な心で人と接していますか? 正直な心とはどんな心なのでしょうか? 言いたいことをそのまま相手にぶつけることは正直なことなのでしょうか?

「嫌いなのに好きなふり、良い人のふり、大丈夫なふり…。自分でもそうやって仮面をかぶるのがつらかったです。それでも周囲の人間から「君は本当に優しいね」とか「君は良いやつだよ」と言われると、再びそうした仮面をかぶっていたのです」―Kさん

「『ありがとうございます』『すみません』『大丈夫です』 そんな言葉をこれまでたくさん口にしてきましたが、本当に心からそうした言葉を口にした場面は一体どれだけあっただろうかと思います」―Dさん

「裏表のある人を見ると一気に気分が萎えます。自分といる時の姿と他の人といる時の姿のギャップがひどかったり、偽善的なふるまいを見ると、一体どの姿が本当の姿なのかと思います。それで疎遠になった人もいますね」―Eさん

1位 自分が正しいと思う心 

自分の失敗や過ちを認める心は、最も大きく広い心だと言うことができます。しかしながら、自分の間違いを認めることは容易なことではありません。アンケートで最も多かったのは「人間関係におけるストレスの原因は、“自分は間違っていない。自分は正しい”という心のせいだった」という回答でした。
「『間違っているのは相手であって自分ではない』。そうした考えのせいでいつも同じことや同様の状況で言い争いが絶えず、人間関係も悪化した」という意見もありました。

「私は人生でただの一度も“自分が間違っていた”と思ったことがありませんでした。自分の考えは正しいといつも思っていたために、他人の意見を認めることはあっても自分の間違いを認めることはありませんでした。1%たりとも自分が間違っていることはないと思っていました」―Aさん

「『私は悪くないのにあの人はどうしてああなんだ?』そう思っていましたね。『私がいったい何をしたっていうんだ?』と。私のかたくなな態度を見て離れていった人も多かったように思います。他人への小言も多かったですね。すべてはその人のためだと思っていましたが、瞑想を通して自分の姿をふり返ってみると、私の言葉に相手は本当につらい思いをしたことだろうなと感じました」―Bさん

「人よりも目立ちたいと思う心、そして馬鹿にされたくないという思いから、自分の間違いを認めることが怖かったんです」―Cさん

仕事であれプライベートであれ、人生で成功を収めるには、良好な人間関係が必要です。人脈は成功の指標だとも言えますね。したがって良好な人間関係を構築するための対話法やテクニックに私たちは注目します。

しかしその実、私たちは人間関係からくるストレスに目を背けたまま、表面的なテクニックで人の心を利用しようとばかり考えてはいないでしょうか?

ストレスがどこから生まれているのか。その原因をじっくりと探し出す時間はどんな人にも必要です。ただ単純に「あの人のせいだ」と決めつけて、背景にあるものから目を背けてしまったらそれ以上の発展は望めません。

いまこそ自分の内面に原因を見つける時。5つの心の傾向の中で、今の自分の心の状態と同じだと感じられたものはどれでしたか? その心の原因をすべて捨て去ることができたなら、あなたは誰からも親近感を持たれ、誰からも好かれる人になれるかもしれません。

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