ほとんどの人々は自分の考えをコントロールすることができ、どちらかを選択して方向づけられると思います。しかし、無意識的に身につけられた固定観念は自分も知らない間に私たちの生活に多大な影響を及ぼしています。
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「50歳を超えると体力が落ちる」、「年を取ると記憶力が悪くなる」などの言葉は、私たちが生きてくる中で持つようになった観念の言葉ですね。
ハーバード大学心理学科の教授であり、「心の時計」の著者であるエレン・レンオは、30年以上の数多くの実験を通し、このような固定観念が自分たちの行動と潜在性をどれほど拘束するかについて示してきました。
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私たちを枠組みに閉じ込めるのは、身体そのものではなく、「身体には限界がある」と信じている自らの考え方ということです。
固定観念を捨てて小さな変化を与えることだけでも、人生が幸せに、そして肯定的に変わることができるのです。
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女性は数学ができない
事前に刺激された観念が私たちの行動に影響を与えることを「点火効果」と言います。例えば、「女性は数学があまり得意ではない」という観念を刺激すると、その女性は数学の実力が悪化するという実験結果があります。アジア人女子学生たちを対象に数学試験を実施しました。
一つのグループには「アジア人」というアイデンティティで、他のグループには「女性」というアイデンティティで事前に刺激をしました。アジア人に対する固定観念は「数学が得意」だということで、女性に対する固定観念は「数学ができない」ということでした。
その結果、「アジア人」というアイデンティティで刺激されたグループの点数は非常に高くなり、「女性」というアイデンティティで事前に刺激されたグループは数学の試験で低い点数が出たのです。
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高い価格が高い品質を意味する?
スポーツジムで運動を始める前の人たちに、彼らが「エネルギードリンク」だと認識している飲み物を配りました。
この時、一つのグループにはドリンクの値段が330円だと話し、他のグループには定価330円のドリンクを大量購入割引で80円の値段で購入したと話しました。
運動が終わった後に調べた結果、80円の割引価格のグループの人々は330円の定価グループに比べて運動強度が低く、終わった後にも疲労感をより大きく感じるということがわかりました。
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「だめだ」と言われた患者が「すぐ退院する患者」たちの病棟に移動させられたとき
10年間、言葉が出ない状態で施設にいた女性が病棟のリフォームのため、同じ建物の他の階へ移ることになりました。
彼女が今までいた3階の病棟は、患者たちの間で「もうだめ病棟 」と呼ばれていました。
そして新しく移るようになった1階の病棟は、すぐ退院する患者たちのいる所で、そこの患者たちは近所を歩き回れるなど、ある程度の自由がありました。
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病棟を移る前の検診結果では、彼女はお喋りは出来なかったけれど、健康状態はかなり良いと判断されました。
そして1階に移ってからは自由を満喫し、すぐに言葉を話すようになり、とても社交的な人になりました。
ところが、3階のリフォーム工事が終わり、彼女が「もうだめ病棟 」へ戻ると、一週間後に倒れて死亡してしまったのです。 検死では医学的な原因が何も明らかになりませんでした。
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このように生きてくる中で持つようになった、あるいは注入されたすべての観念は、実際に私たちの人生と体にものすごく大きな影響を及ぼしています。
観念を変えて、無くすことがなぜ重要なのかを証明する実験は今も続けられています。
参考文献
心の時計 Ellen Langer